良い姿勢は書字動作の土台です。
では良い姿勢とはどのような姿勢なのでしょうか。
なぜその姿勢が良いのでしょうか。
どうしたら良い姿勢をとれるのでしょうか。
今回の記事では姿勢に関して調べたことをまとめて紹介していきたいと思います。
今回は例として青山浩之先生の「“きれいな字”の絶対ルール」で紹介されていた書きやすい姿勢を紹介させていただきます。
書きやすい姿勢
①肩の力を抜いて背筋を真っすぐ伸ばす②おなかと机、背中とイスの間は握りこぶし1個分あける
③頭はやや前に傾ける
④手元と目の距離は30㎝以上あける
⑤足は軽く広げ、足の裏をしっかり床につける
⑥両腕を紙に向かって45度「ハの字」に構える
書くときの正しい姿勢 |
ペンの持ち方については専門家によって意見の違いもあるようですが、姿勢に関しては他の本でもほぼ同じ姿勢が紹介されています。
良い姿勢をとる理由
ではなぜ上記のような姿勢をとるのでしょうか。
ペン字関連の書籍では詳しい理由が省略されているので、座り方に関する書籍「医師が教えるゼロポジ座り」からその理由を考えてみることにしました。
この本によると、あごが前に出ている、もしくはお腹を折り曲げて座っているような悪い姿勢では
・関節や筋肉に負担がかかって腰痛や肩こりになる
・脳の血流が悪くなり集中力が低下する
など悪影響があると紹介されていました。
悪い姿勢の例 やる気がなく、だらしなく見える |
逆に骨盤の上に真っすぐ腰椎(脊椎のうちの腰の部分の骨)がのり、頭も脊椎の上にのっている状態であれば関節や筋肉への負担を軽減できるため、腰痛・肩こり・首こりが起きにくく、また血液の流れが阻害されず脳も含めた全身の血流がよくなるため集中力が高まるとのことでした。
つまりこのような良い姿勢をとる理由は疲れや痛みが生じにくく、集中力が高まるからだと考えられます。
※追記
神奈川県立保健福祉大学の笹田哲先生が書いている「書字指導アラカルト (気になる子どものできた! が増える)」に書字と姿勢の関係に関する記述がありました。
笹田先生は発達が気になる子どもたちの支援に取り組んでいる作業療法士(リハビリの専門職)の先生です。
この本によると座位姿勢が崩れた場合
・腕や指先で姿勢の保持力を補おうとするため指先が必要以上に力んでしまい、筆圧が強い字になってしまう
・首の動きが制限されて黒板を見ることが難しくなる
・疲れやすい姿勢の影響で注意が散漫になり、ミスや聞き漏らしにつながる
などの影響があるとのこと。
良い姿勢ってやっぱり大切なんですね。
良い姿勢では書きにくいと感じる理由について
理屈としては良い姿勢について理解できたのですが、実際に良い姿勢で書いてみると途中で疲れたり姿勢が崩れたりして、結局書きにくいと感じることがあります。
このことについても「ゼロポジ座り」に説明がありました。
中村先生によると、体幹の筋肉が相当しっかり鍛えられていないと、背筋を伸ばして骨盤を立たせた姿勢(直角座り)を保持することは困難で、大半の人はすぐに「疲れた」「続けられない」と感じるとのこと。
つまり良い姿勢を保つには筋力が必要で、大半の人はその筋力が足りていないということらしいです。
座位姿勢を保つ筋肉にはローカル筋(腹横筋・多裂筋などのインナーマッスル)と腸腰筋があり、特に腸腰筋がゆるんでいると骨盤が後傾し、へそ折れ姿勢(骨盤後傾位)になるとのこと。
腸腰筋 |
腸腰筋は歩幅の大きさや大臀筋(お尻の筋肉)の働きにも影響する大切な筋肉らしいです。
また、普段から背中を丸めた悪い姿勢が習慣化している人(猫背の人)は、体がそれを正しい位置だと誤認識してしまい、良い座り方に直そうとしても正しい位置がわからず、悪い姿勢の方に戻してしまうこともあるそうです。
良い姿勢にすると書きにくいと感じる場合、姿勢を保つ筋肉が弱く、普段の姿勢も悪くなっていると考えられるため、これらを改善していく必要があります。
ちなみにこの本のタイトルにもなっている「ゼロポジ座り」とは、股関節の角度を調整した楽な座り方で、著者の中村先生が推奨している体に良い座り方です。
座位姿勢について詳しく知りたい方はチェックしてみてください。
姿勢のチェックポイント
普段猫背の人は書く時も猫背になりやすいということは理解できました。
では自分が猫背かどうかチェックするにはどうしたらいいのでしょうか。
これについては「ねこ背 何歳からでも自力で治せる!整形外科の名医陣が教える最新1分体操大全」に猫背のチェック方法が掲載されていたので紹介します。
この本によると壁を背にして立った時に
①かかと
②お尻
③肩甲骨
④後頭部
の4箇所が無理なく壁につき、腰と壁の間に手のひら1枚分が入るスペースがあればOKで、これができない人は猫背とのこと。
猫背のチェックポイント |
1箇所でもつかなかった場合は猫背です。
猫背になると
・骨盤が後傾するため腸腰筋が伸びて働きにくくなる
・体のバランスを取るために股関節やひざが曲がった格好になる
など体の不調を招きやすくなるそうです。
猫背の姿勢が定着していると字を書く時も背中が丸まりやすくなるので、体を鍛えて姿勢を改善していきましょう。
猫背を改善する体操
最後に私が調べた猫背改善体操の中でおすすめのものをいくつか紹介します。
※体操で痛みや痺れなどの症状が出る場合は無理に行わず医師にご相談ください
背骨の柔軟性を改善する体操
・寝たまま行うストレッチ
背骨についている筋肉の柔軟性を改善することで背骨の動きを良くし、姿勢を改善します。
体をねじるストレッチ |
もも裏のストレッチ |
お尻ともも裏のストレッチ |
お腹側のストレッチ |
・筋膜ライン伸ばし
筋膜には主に4つのライン「バックライン」「フロントライン」「ラテラルライン」「スパイラルライン」があり、猫背の改善には4つの筋膜ラインを全て緩めることが有効といわれています。
バックライン伸ばし |
フロントライン伸ばし |
ラテラルライン伸ばし |
スパイラルライン伸ばし |
姿勢を起こす筋肉のトレーニング
・腸腰筋のトレーニング
骨盤を起こす働きをする腸腰筋のトレーニングです。
座って行う腸腰筋のトレーニング |
・ローカル筋のトレーニング
背骨の動きを安定させるローカル筋のトレーニングです。座って行うローカル筋のトレーニング |
・背中の筋力トレーニング
背すじを伸ばす筋肉のトレーニングです。
寝ながら行う背中の筋トレ |
バランス感覚を改善する体操
座位姿勢を保つためには体が傾かないよう保持するためのバランス感覚も必要だといわれています。
中腰でバランスをとる ※骨盤を前傾させる練習にもなる |
※参考書籍
まとめ
今回は書く時の姿勢に関する情報を紹介させていただきました。
良い姿勢で書くためには普段から姿勢を良くし、また姿勢を保つための筋肉を鍛えておく必要があります。
体を鍛えるのは大変と思われるかもしれませんが、逆に考えると体を鍛えて普段からいい姿勢に慣れておけば、書く時に楽になります。
字を書く時は書くことに集中したいので、私も普段から良い姿勢を保つための筋肉を鍛えていこうと思います。
それでは今回はこの辺で。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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