【見るだけで字が上手くなる】「目習い」の効果とポイントを解説

2020年4月7日火曜日

認知・脳トレ

こんにちは。

桐敷たかをです。

私が以前受講していた日ペンのボールペン字講座のテキストには、「テキストを進められない日は見るだけでもいいから毎日字に触れましょう」と書いてありました。

これは書道で言う「目習い」というやつですね。

でも本当に見るだけで本当に効果があるのでしょうか?

もし見るだけで効果があるとしても、ただぼんやり眺めているだけでいいんでしょうか?

何か意識するべきポイントなどあるのでしょうか?

色々疑問に思う方も多いと思うので、今回は「目習い」について説明していきたいと思います。

目習いとは脳を鍛えること

目習いと言っても、眼球や目の神経など、視力を直接鍛えている訳ではありません。

まずはその工程を分析して、目習いとは具体的に何をすることなのか、考えていきたいと思います。

目習いの工程

①観察 字を見る

②認識 覚えるべきポイントを発見する

③理解 ポイントを自分なりに解釈する

④記憶 解釈したことを記憶する


この一連の流れが目習いですね。

なるほど。

とても頭を使いそうな作業です。

どうやら目習いとはきれいな文字の形を頭で覚える練習のようですね。
目習いの工程

きれいな文字の形を頭で覚えることで、以下の図のようにペン習字が上達していきます。

字を書く工程

目習いとは「字を書く」という一連の作業を通して行う全体練習ではなく、その準備段階である「字形や書く際のポイントを意識するところ」を集中的に練習する部分練習ということになります。

では、見る時に何か意識すべきポイントなどあるのでしょうか?

目習いの効果を高めるには

当たり前ですが、字形や書く際のポイントを意識して覚えることが大切になります。

ポイントを覚えやすくするためにはきれいな字の形を「何かの形に似ていないか?」「どんなリズムで表現できるか?」など様々な感覚と結び付けながら学習していく方法がおすすめです。

この「感覚」というのは少しわかりにくいかもしれないので、以下に具体例をいくつか挙げて説明していきます。

①視覚(見たものや空間を認識する感覚)

まず、視覚について。

視覚とは形や空間など、視覚的な情報を扱う感覚です。

ペン字においては点画の長さや位置、形などをざっくりと捉える時などに使います。

例えば、美文字王子として知られている青山浩之先生は平仮名の「あ」「お」「わ」「め」「ぬ」を書く際、その曲線は猫が伸びをした時のお尻の形をイメージして書きましょうと提唱しています。

青山浩之 ひらがな 猫のお尻ルール


頭の中にある視覚的なイメージ(猫のお尻の形)を用いて書くことで、きれいなひらがなの曲線を再現できる。

このように視覚的なイメージを手がかりにすることで一つ一つの点画や文字の外形がどんな形をしているのか覚えやすくなります。

②聴覚・言語感覚

次に聴覚・言語感覚について。

聴覚・言語感覚とは音や言語に関する情報を扱う感覚です。

これも青山先生のルールで例を探すと「美文字のリズムルール」。

これはどんなルールかというと、点画を書く時、例えば「曲がり」を書く時は

①起筆で「トン」

②下に下ろすときに「スー」

③曲がるところで「グルー」

④はねる直前で「ピタ」

⑤はねるところで「ピョン」

と、このように頭の中で擬音語、擬態語などを唱えながら書くことで、「とめ」「はね」「はらい」などをきちんと表現できるようにするというルールです。

青山浩之 美文字のリズムルール

このように聴覚的なイメージを手がかりにしてきれいな字の形を覚えていく方法もあります。

③手の感覚(体性感覚)

最後に手の感覚について。

手の感覚とは、実際に手で触れたり、動かしたりして感じる感覚です。

いわゆる体で覚えると言われている感覚がこれに当たります。

ペン習字で言えば筆順やペンの動きなど、言うなれば「ストローク」の感覚です。

例えば、なぞり書きの反復練習など、ペンの動きを反復して指の筋肉に覚えさせる練習があります。

ちなみに「脳トレ書道のススメ」を書いた福山秀直先生(京都大学医学研究科附属高次脳機能総合センター)によると、人間が字を覚える時は、視覚的に認識した文字の形と、体性感覚的に認識した「ストローク」、さらに文字の読み方や意味などの言語的な情報を結びつけながら覚えているとのこと。(上記3つの感覚を総合的に使っている)

字を書くっていい脳トレになりそうですね。

福山先生の著書にについてレビューした記事もあるので、リンクを貼っておきます。

よかったらチェックしてみてください。

手習いについて

今回は「目習い」について説明しましたが、もう一つ頭に入れておいてもらいたいことがあります。

「手習い」についてです。

頭の中にきれいな文字のイメージがあっても、思い通りにペン先をコントロールする技術がなければ、そのイメージを再現することはできません。

人が字を書く時は

①字形や書く際のポイントを意識

②ペンを動かして頭の中にある字の形を再現する

このような段階を経ているので、どんなにきれいな字形をイメージできても、それを再現する技術がなければ文字の形は歪んでしまいます。

青山先生のテキストにもペン先のコントロールに関する記述がありあした。

ペン先をコントロールする練習として、丸、三角、四角などの図形を書く練習が紹介されています。

手習い・運ペン練習
図形を書く練習

いわゆる「運ペン練習」です。

「字を書く」という作業を分解して、「ペン先をコントロールする」という部分に焦点を絞り、それを集中して練習する方法です。

ペン習字ではこのような練習方法を「手習い」といいます。

きれいな字を書けるようになるためには「目習い」と「手習い」の両方が必要になります。

まとめ

今回は「目習い」のポイントについて説明しました。

眺めているだけで覚えるべきポイントを意識できなかったり、ポイントを覚えようとしていなかったりすれば「目習い」としての効果が期待できません。

美文字ポイントを探しながら、様々な感覚と結びつけてきれいな字の形を覚えていくことが大切です。

ちゃんとやろうとすると目習いの練習だけでも集中力が必要になりそうですね。

私も目習いをするときは上記のポイントをしっかり意識していこうと思います。

それでは今回はこの辺で。

最後までお読みいただきありがとうございました。



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名前:桐敷たかを
ペン字通信講座とペン字上達法の研究が趣味。

硬筆・毛筆書写技能検定1級合格を目指しています。

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