【空間認識能力が向上】補助線を手がかりにした書字動作練習の効果

2020年3月21日土曜日

知識・技術

私の悩みは字のバランスが上手くとれないこと。

どうやら私は空間認識能力が足りないようです。

お手本を見ながら練習していても、字全体のバランスが上手くとれず、下の写真のように歪んでしまいます。

対策前の漢字
(日ペンのテキストより)

バランスがとれないと、どうしても子供っぽい字になってしまうので、もっとバランスがとれるようになりたい。

そんな事を考えていたところ、ペン習字の先輩から「フリクションで補助線を入れると良い」とアドバイスを頂いたので、今回その方法を試してみる事にしました。

実際に補助線を引いてみました

1マスを16分割する

先輩から教えてもらったのは「十字線とX線を入れる」とのことでしたが、個人的には四角く分割した方が字を捉えやすいと思ったので、1マスを四角で16分割する線を引いてみました。

上手に書く方法①

適度に薄い色を使うと見やすくなります。

線を目印にして字を書いてみる

線がない時と比べて、始筆や終筆の位置、線の角度や長さなど、お手本の字を捉えやすくなりました。

また自分が書いた字も、イメージ通りに書けたのか、それともイメージとズレてしまったのかを認識しやすくなりました。
(普段気づかないようなちょっとしたズレにも、補助線があるおかげで気づく事ができるようになりました)

上手に書く方法②



補助線を消す

フリクションで書いた線なので、ドライヤーを当てたらすぐ消えました。

消しゴムなどで擦らなくていいので、用紙も汚れません。

線が消えると、以前よりもバランスのとれた字が書けていました。

上手に書く方法③


効果判定

対策前の漢字
before(補助線なし)



上手に書く方法③
after(補助線使用)


上手に書けるようになりました。

補助線で上手く書ける理由を考察

アドバイス通り補助線を試してみたところ、バランスよく書けるようになりました。

ではなぜ補助線を使うと上手く書けるのか。

一応自分なりに考察してみたのでその内容をまとめておくことにします。

ペン字を学ぶ時は、①お手本を見る、②お手本を覚える、③覚えた通りに書く、④書いた字を確認する、という流れになっています。

ペン字学習のサイクル


上に挙げた各工程に対して、補助線がどのような影響を与えるか考察してみました。

①お手本を見る

この工程では認識できる情報量が増えることが期待できます。

補助線を使ってお手本を認識する事によって、お手本を捉える精度が向上します。

何も枠組みがないと取りこぼしてしまうような情報も、補助線の枠組みを通してしっかり拾うことができます。(始筆や終筆の位置、線の長さなど)

②お手本を覚える

この工程では記憶のフックが増えることが期待できます。

補助線を用いる事で、補助線との関係から字形を記憶することができるようになります。

字形の覚え方は色々ありますが、フックが多い方が記憶は思い出しやすくなります。

例えば、私は元々「左払い」の書き方を払いの角度で覚えていましたが、補助線を使うようになってから補助線との位置関係でも記憶できるようになりました。

このように2つの方法で記憶しておくことで、万が一どちらかを忘れてしまっても、もう一方の記憶を頼りにお手本の字形を思い出す事ができます。

③覚えた通りに書く

この工程では字形を正確に書き写せるようになることが期待できます。

私のように空間認識能力が足りないと、見本を見ながら書いていても字が歪みます。

目印など基準となるものがない紙の上で、どの方向にどのぐらいの長さで線を引いたらいいのか、わからなくなってしまうからです。

それに対して補助線があれば、それを目印にして点画の長さや位置関係を明確にイメージして書けるので、見本を正確に書き写せるようになります。

点画のラインを明確にイメージできるので、補助線がない時と比べて正確にペンを運ぼうとする意識も強くなります。

私の場合、ペンを運ぶスピードも自然とゆっくりになりました。

④書いた字を確認する

自分の字を正確に認識できる。

書いた字を認識する時も、お手本通りに書けたのか、書けなかったのかを、補助線を目印にしてより正確に認識することができます。

インプット(自分が書いた字の認識)が向上することで、アウトプット(次に書く字)の向上が期待できます。

補助線に頼りきっていて大丈夫か?

補助線を使うと上手く書けることは検証できました。

ここでもう一つ検証したいことがあります。

補助線に頼っているということは、

能力を外部に依存している=自分の能力を使っていない

ということにならないでしょうか?

そして能力を使っていないということは、練習が身にならないんじゃないか?

補助線に頼りきってしまうと、補助線がないと書けない人になっちゃうんじゃないか?

そんなことが心配になってきました。

能力が不足しているなら補う必要があると思いますが、能力の向上に合わせて補助を減らしていく必要があるかもしれません。

例えば子供が自転車の練習をする時、はじめのうちは補助輪を使って練習します。

でも、いつまでも補助輪をつけていられないので、ある程度こぐことに慣れてきたら、補助輪を外して自分でバランスを取る練習に移行していきます。

ペン字の練習も同じように、まずは補助線で空間認識能力を補いながら練習をして、慣れてきたら補助線なしの練習に移行していくといいかもしれません。

そして補助線を使わない時は、目に見えない補助線を頭の中でイメージしながら書くようにすると、練習したことが活かされて上手に書けるようになると思います。

補助線は空間認識能力を高める練習の「段階付け」として利用することができそうですね。

ここで補助線を用いた練習の効果を検証すべく、補助線を用いた練習を始めて3ヶ月後の私のツイートを紹介します。





補助線なしでもこれだけ書けるようになりました。

はじめは補助線を用いて、段階的に補助線を外していく練習は効果がありそうです。

まとめ

素人の目測はあてになりません。

一手間加えるだけでこれだけ変わるなら、手間を惜しまずどんどん線を引いていこうと思います。

また、補助線のおかげで、普段は気づかないようなわずかなズレや自分の癖にも気づく事ができるようになりました。

「気づくこと」ができれば、そこを意識して練習することで修正していくことができます。

教えてくれた先輩には本当に感謝です。

もし、字のバランスがとれなくて悩んでいる方は一度試してみてください。

手間はかかりますが取り組むだけの価値はあると思います。

ということで今日はこの辺で。

読んでいただきありがとうございました。



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プロフィール

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桐敷たかを
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名前:桐敷たかを
ペン字通信講座とペン字上達法の研究が趣味。

硬筆・毛筆書写技能検定1級合格を目指しています。

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